ミキシングで「やらない」と決めている3つの判断について

さて今回はミキシングでやらないと決めている3つの判断についてお話ししていきたいと思います。

まず、前提なのですが私の中で「必ずやること」は決めていません。

自然と同じ工程や方法論になっている、ということはありますが、それはあくまでも音があって、それを聞いた判断で行なっています。

同じ理由で「やってはいけないこと」も基本的には無いと思っています。

作品が良い方向になれば、例え歪んでいてもノイズがあっても良いですし、セオリー通りにやる必要はありません。

ただ、やらないと判断していることはあります。

今回はその判断について、意図的にやらない3つのことを

理由と共に整理したいと思います。

1、ミキシングの現場で、作品を「好きか嫌いか」で判断すること

私は音楽が好きでこの仕事に就いたので、音楽的な好みがあったり、慣れているジャンルもあります。

この辺りは音楽をやっている人は誰でもそうだと思います。

ただ、エンジニアとして制作に携わる場合には、真逆のジャンルであったり、好み以外の作品の依頼が来た場合には

時としてそのような私的感情が邪魔をしてしまうことがあります。

作品の良いポイントを更に磨く

これが作品のオリジナリティーや強みを出す一番の武器だと思っているので

好きになり、良い部分を探す

初見でこれを行い、自分自身が作品の内側に入った気持ちになり、ミックスに臨みます。

自分の好みを基準にするのではなく、作品がすでに持っている強みを基準に判断するようにしています。

2、楽曲の方向性を自分の判断で変えてしまわないこと

どの楽曲でもジャンルや方向性に関してはあると思っています。

例えばジャンルは無い、といっても頭の中のイメージを音として構築した時点で

そこにはイメージという方向性が存在しています。

その、方向性に関して、私的判断で逸脱した変更は決して行なってはいけないと考えます。

良くなれば何を行なっても良いのですが、それは方法論や結果としてであって、

エンジニアとしては、あくまでも意思疎通を保ちクライアント(アーティスト)と向き合って行く必要があります。

私が音楽制作において、アーティストとのコミュニケーションを重要視している大きな理由の1つです。

エンジニアの役割は、方向性を作ることではなく、意図を崩さずに整えることだと思っています。

3、音作りにおいて、プリセットをそのまま使うこと

私のミキシングでは多くのプロセッシングでアナログを使用していますが、もちろんプラグインも使用しています。

特にデジタルでしかできない処理もあるので、使い分けているというのが現状です。

その際に音作りとしてプリセットは使用しません。

多くのエンジニアにとっては当たり前のことだと思っていますが、音の素材が毎回違うため、同じ処理はあり得ません。

例外として、リバーブ等の空間系に関してはプリセットから当たりをつけることはありますが、

それも最終的には微調整を行い、楽曲に合う形で仕上げていきます。

感じたことに対して処理を行う。

これがミキシングにおける最適解で、人がミックスをする意味だと思っています。

音楽制作においてもAIが用いられる時代になり、様々な議論がなされています。

私はAIに対して否定派でも肯定派でもありません。

進化の過程で出てきたイノベーションに対して否定も肯定もないと考えています。

例えばAIの作品を聞いて自分が何かを感じる事ができれば、その感じたことに意味があり、自分の表現に繋がります。

結果として自分のアウトプットにつなげることができれば、それがオリジナリティーになります。

全ては自分の周りにある道具で、自分の表現役立てば、決して交わることのない唯一のものが出来上がると考えています。

人が感じたことを表現し続ける限り、人に響く音楽を作ることができると考えています。

技術や手法がいくら進化しても、音を聴いて判断する行為だけは、人が担い続ける部分だと思っています。

「ミックスとマスタリングの違い|初心者向け制作工程と基本のポイント」

ミックスとマスタリング、この2つの違いをちゃんと理解していない方も多いのではないでしょうか。
今でこそこれらの作業を1人が兼任というスタイルも見かけるようになりましたが、本来は分業で、それぞれ専門のエンジニアがいます。
今回は制作工程も確認しつつ、両工程においてできること、できないことについても知っていきましょう。

マスタリングとは?

まず結論ですが、マスタリングとは、音を世に出すための最終調整を行う工程になります。
その際に媒体ごとに合わせたマスターを作成する作業も含まれます(名前の由来にもなっていますが、本来の目的はここです)。

例えばCDであれば工場でプレスするための元となるもの(今はDDPファイル)を作成する工程であり、
音楽配信の場合は媒体へ納品するための音声データを作成する工程、ということになります。

ではなぜマスタリングで最終的な音量や音質の調整を行う必要があるのでしょうか。
これは音楽がパッケージ媒体であった頃、レコードやCD時代に、曲によって音量や音質に大きな違いがあると流れで聞いたときに違和感や聞き取りづらさが出るという問題があり、それを解消するために行なっていました。
また、アルバムを作成する際にミックスを行うエンジニアが複数いた場合、それぞれの環境による音量・音質の違いを解消するという目的もありました。
その流れで今でもマスタリングで音量、音質調整を行なっています。

ミックスとマスタリングの工程比較

まず、そもそもですが、ミックスを行った後にマスタリングを行います。
ミックスでパートごとのバランスを整えて楽曲を仕上げた後、最終段階としてマスタリングを行うという流れです。

(ミキシング詳細についてはこちらの記事をご参照ください)

  • ミックス:パートごとの調整
  • マスタリング:曲全体の仕上げ

そもそもの調整内容が全く異なる、というわけですね。
そのため、それぞれの工程で扱っている音声内容も異なります。

  • ミックス:各パートバラバラの音声データ(パラデータ、STEMデータ)
  • マスタリング:2Mixデータ

また、扱うデータが異なるため、やれること・やれないことがあります。

  • ミックスでできること:各パートごとの音量・周波数・定位の調整
  • マスタリングでできること:曲全体の音量・質感調整
  • ミックスでできないこと:最終的な音質・音圧の調整
  • マスタリングでできないこと:各パートごとの音量・周波数・定位の調整

まとめ

ミックスとマスタリングは、共に音楽制作の中で仕上げの段階とはなりますが、全く違う役割を持った作業です。
混同されてしまいがちですが、制作の流れや意味合いを理解することで、より音楽制作に対する理解が深まります。
みなさまの音楽制作において何かしらのヒントになれば幸いです。

「初心者でも分かるミックスの基本|音楽制作で音をまとめる方法」

今回は『ミックスとは何?どんな事をするの?』という話をしていきたいと思います。

先に結論ですが、ミックスとは

“バランスを整えて楽曲をまとめる”

作業になります。

イコライザーやコンプレッサー、リバーブなど、いろんなエフェクターを使って音量や周波数、音圧を調整したり…色々とあるとは思いますが、結局これらは調整の道具に過ぎません。

大事なのはこの「バランスを整える」という言葉に何が含まれているか、という点です。

ミックスでは『音』という目に見えないものを扱うため、音の実態や本質を理解しておくことで、やり方や何を使えば良いかの理解が深まります。

私のBlogでは、道具やエフェクターの使い方ではなく、原点である音やミックスの本質的な部分、物理的な面の話をメインにしていきたいと思っています。

はじめに音とは?

そもそも音とは何でしょうか?

みなさん、手と手を叩いてみてください。手と手が当たる瞬間に振動を感じますよね?

その振動が空気を震わせ、我々の耳(鼓膜)に伝播して、音として認知します。

強く叩くとどうでしょうか?

そう、音は大きくなります。

振動が大きくなると音も大きくなります。

振動 → 空気を伝わる → 鼓膜に響く

この一連の流れをイメージすると分かりやすいです。

また、この波は空気(媒質と言います)と共に時間変化がないと成立しません。

まとめると、音とは物理現象としては波であり、それを人が音として認知しているということになります。

音の要素

では波である音、皆同じかといえばそうではありません。

  • 大きい音、小さい音
  • 高い音、低い音
  • 明るい音、暗い音
  • 鋭い音、鈍い音
  • 広がりがある音、狭い音

これらは音のキャラクターの違いですが、分かりやすくするために3つの要素に分類されています。

そう、音の3要素です。

学生時代に習った方も多いかと思います。

  • 音量
  • 音程
  • 音色

大変分かりやすく解説しているサイトがありましたので掲載いたします。:音の仕組み解説

しかしながら、私的には音を3要素のみで分類するのは無理があると感じていて、理解に及びにくいのかな、と感じています。

音量は振幅、音程は基音の周波数で比較的理解できますが、残りの音色に関してが含まれているものが多いため曖昧だと思います。

音色の定義例:同じ音量・音程でも音が違って聞こえる理由、または要素。倍音構成、時間的特性(エンベロープ:アタック/ディケイ/サステイン)、その他音源固有の特性(位相・ノイズ成分など)

とすると、理解のためには以下5つの要素で分けるのが適切だと思っています。:

  • 音量
  • 基音(音程)
  • 倍音(その他構成音)
  • 時間的特性(エンベロープ、ADSRなど)
  • ノイズ・位相などの音源固有の特性

改めてミックスとは?

最初にお話しした通り、ミックスは“バランスを整えて楽曲をまとめる”作業です。このバランスには上記の5つの要素の調整も含まれます。

さらに、定位という要素も大切です。定位とは音を楽曲内でどこに配置するかを決めることです。左右の配置だけでなく、奥行き(前後)や上下も含まれます(上下は個人差があります)。

まとめ

ミックスとは、バランスを整えて楽曲をまとめる作業であり、多岐に渡る要素を調整して行います。

大切なのは、目的と手段を理解することです。音が大きいから下げる、小さいから上げる、目立たないから目立たせる、といった行動には必ず目的があります。次に、どうすればその目的を達成できるかを考え、手段を選びます。

この理解を元に、音量を上げ下げするにはフェーダー、基音・倍音の調整にはイコライザーを使う、といった手段を適切に選択します。

目に見えない音を扱うからこそ、音の成り立ちや要素を理解しておくことが大切です。最終的には、自分やクライアントが「最高!」と感じる楽曲に仕上げることが最も重要です。

『ミックス依頼用、データ作成ガイド』頭合わせからラフミックスまで

さて、楽曲が出来上がりミックスを自分以外の人へ依頼したい場合に

  • 依頼用のデータってどう作成すればいいの?
  • どんなデータが必要なの?
  • 必要な情報って何?

と様々な疑問があると思います。

今日はそれらを解決して、スムーズにデータを共有するための方法を解説していきます。

なぜデータの準備が大切なのか

ミックスの依頼をする際に、正確に整理されたデータが届くかどうかで作業効率もさることながら、

音の仕上がりに影響の出る事もあります。

大事な作業になりますので順を追ってチェックしていきましょう。

ファイル書き出し時の注意事項

1、プラグインやフェーダー、パンの設定について

まず、プラグインに関して、例えばドラムのKickの音にEQをかけていて、そのEQが気にっている場合や、

ブレイク部分のボーカルに場面転換でディレイをかけていて、それが音として楽曲の中で大切な役割を担っている場合など

意図して作成した音やトラックに関しては、エフェクト有りと無しの2パターンのファイルを作成します。

ミックス時に再現の難しい場合はそのままエフェクト有りのファイルを使用し

改めて作り直した方が良い感じになる場合は、エフェクト無しのファイルを使用してミックスを行います。

それ以外の、特に思い入れのないエフェクトに関しては外した状態でファイル作成を行います。

次にフェーダーを0の位置に戻し、パンに関してはセンターに戻します。

ただ、ミックスに定位を反映させたい場合は、後述のラフミックスをお送りいただくか、定位の情報を書面でお送りください。

また、この時点で曲を再生した際に、各トラックのメーターが赤(オーバーロード)していないかも確認して、

赤がついている状態でしたら点灯しないようにフェーダーを下げて書き出す必要があります。

2、頭合わせでの書き出し

例えば、ドラムは3小節目、ボーカルが11小節目から始まる曲があったとします。

これをそのまま、ドラムは3小節目、ボーカルを11小節目からファイル作成して相手へ送ると

送られた側がDAWにインポートした際に、ドラムはドラムは3小節目、ボーカルが11小節目にマニュアルで合わせる必要が出てきてしまいます。

また、送った側もドラムは3小節目でボーカルが11小節目だよ、って伝える必要があります。

お互いに少々面倒、、、、という具合です。

それを、書き出しを行う時点で『ドラムもボーカルも1小節目』からファイル作成しておけば

ファイルをもらった側も合わせる必要がなくなり、送った側も相手に各トラックのスタート位置を伝える必要がなくなります。

このWinWinな関係を『頭合わせの書き出し』なんて言い方をしています。

要は、全てのトラックの頭を揃えて書き出しを行う、ということになります。(無音部分も含めて書き出しを行う、という事ですね。)

不安な人は、『全てのトラックを無音部分含め1小節目から書き出す』と覚えておきましょう。

また、書き出しを小説の頭としておく事で、テンポを相手に伝えれば共有も可能になります。

3、ファイル名について

それぞれのトラックにわかりやすい名前をつけておきましょう。

例えば

スネア:Snare、Sna、Sn

ボーカル:Vocal、Vo、Vox

などの様に、半角の英数字でまとめるようにします。

2バイト文字(日本語や全角文字)は最近はある程度問題はなくなって来ている感はありますが、

やはり文字化け等のトラブル防止という観点から使用しない方が無難です。

4、ファイル形式について

ファイル形式はWAVやAIFFなどの非圧縮データが基本です。

MP3やAACなどの圧縮データでも可能ですが、WAVをわざわざMP3にする必要はありません。

WAV >MP3

と覚えておいて下さい。

またMP3しかない場合にWAVに変換(コンバート)しても音質が良くなるわけではありませんので、そのままお送りください。

サンプリングレートとビットデプスに関しては同じ状態(DAWプロジェクトと同じ状態)でお送りください。

例えば現状44.1kHzなのに、書き出し時に48kHzで書き出して送っても音は良くなりません。

ラフミックスの作成

ラフミックス=ざっくりミックス

即ち、しっかりとミックスを行った音源ではなく、簡単にざっくりと、現段階で必要なミックスを施した音源になります。

例えばドラムの録音を行った日があるとします。

その日の終了時に、家でプレイを確認したいから、その為の音源をラフでちょうだい!みたいな事があります。

するとドラムのプレイが確認しやすいように、他の楽器よりも気持ち大きめの音量でミックスしてファイル作成を行います。

簡単にざっくりと、必要なミックス(ドラムを気持ちあげた、確認用の音源)を作成する、という具合ですね。

同様に、ミックスを依頼する場合も、依頼相手に対して楽曲の現状を伝えたい場合があります。

その手段としてラフミックスを作成するという事です。

例えばアコギは左に置きたい、エレキギターは右に置きたい、などのパン情報含め、

楽器のボリューム感やエフェクトなどの具体的な要望などあれば、それらも反映してラフミックスを作成すると伝わりやすくなります。

ラフミックス、という名前ではありますが、実際はとても大切な音で相手に伝える資料となります。

まとめ

さて、今日はミックス依頼用のデータ作成の流れを見ていきました。

一つ一つの小さな積み重ねが良い音、良い音楽に繋がっていきます。

少々細かな作業で面倒ではありますが、良い作品に仕上げるための大切なプロセスなのでしっかりと行うのが得策です。

また、swaying needlesではお見積もり時のデータ確認の際に、お送りいただいたデータに問題がないかデータチェックを行っております。

お見積もりはもちろん無料で行っていますので、お気軽にお問合せ下さい!

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「初めてのミックス依頼ガイド」失敗しないためのポイント5選

宅録や「歌ってみた」など、自宅で録音した音源を公開する人が年々増えています。
また、近年ではAIを使用して作曲を行う人も増えてきており、色々と議論されていますが、着実にツールの1つとして認知され始めています。

その中で 「もっとクオリティを上げたいから、プロにミックスをお願いしてみたい」 と思ったことはありませんか?

ただ、いざ依頼しようと思っても、

  • プロへの依頼はどんな準備が必要?
  • どんなことを伝えればいい?
  • 相場はいくらくらい?

と不安が尽きないのが実情です。

そこで本記事では、20年以上の現場経験を持つエンジニアが、

初めてでも安心してミックス依頼ができるようになる5つのポイント を解説します。

(多くはクライアントの方々にご協力頂きたい内容となっています。より良い作品に仕上げるため必要な内容となっていますのでご一読ください!)

 

 

はじめに、ミックスとは?マスタリングとの違いや基本を理解しよう

『ミックス』とは、複数のトラックに分かれた楽器や音声の録音データ(ボーカル、ギター、ドラムなど)を、
音量バランス・定位・音質を調整してステレオの音声ファイル(2mix、トゥーミックス)にまとめる工程です。

(Dolby Atmosの場合はAtoms Mixなんて言い方をしています)

ともかく、複数の音をまとめる作業のことをミックスと呼んでいるわけですね。

そのまとめる際に何をしているのかと言うと、楽器や音声の『音量』『音質』『定位』のバランス調整を行って音楽となるようにまとめるわけです。

一方『マスタリング』はミックスでまとめた音声ファイル(2mix)に対して、楽曲全体の音量、質感の最終調整を行い、配信やCD等の媒体に適した形へと仕上げる作業のことを言います。

時々混同されている方もいるのですが、内容としてはこのような大きな違いがあります。

  • ミックス → 楽器や音声のバランスを整え、まとめる。
  • マスタリング → ミックスでまとめた音声ファイル(2mix)に対して、音量質感の最終調整を行い、配信やCDに適した形へと仕上げる。

この違いを理解しておくと、依頼の際に「どの時点でどの依頼ができるか」が明確になります。

例えば、マスタリング時に細かな音量バランス調整(Aメロの歌をあげてください!)などご依頼いただく事もありますが、
基本的には、マスタリング時に「出来ないこと」になりますので、制作工程を理解しておくことが大切です。

(AIでSTEM化して歌の上げ下げできるじゃないか!という話は音質面でなし、と言うことで。)

ではミックスとマスタリングの違いや基本を理解した上で、次に実際にミックスを依頼する際に失敗しないための5つのポイントを見ていきましょう。

 

失敗しないための5つのポイント

  1. 録音データの準備をしっかりと、綿密に
  2. 完成の希望イメージを、できる限り正確に伝える
  3. 納期と修正回数を確認する
  4. 料金の確認、相場や仕上がりの違いを知る
  5. エンジニアの実績やサンプルを確認する

1. 録音データの準備をしっかりと、綿密に。

よく勘違いされてしまうのですが、エンジニアは音に対して何でもできる訳ではなくて、「やれること」と「やれないこと」があります。

AI等の技術の進化で、やれることは一昔前よりも増えてはきましたが、それでもまだ音質面を考慮するとやれないこと、やらないことも多いです。

例えば、お送り頂くデータ自体が歪んでいたり、ノイズだらけだと仕上がりにも影響を及ぼします。

依頼前に以下を確認しましょう:

  • 書き出し時に音がクリップ(赤ランプが点灯)していないか?→不要な歪みは無くす。(これは録音時も同様)
  • 音声に不要なノイズ(雑音やクリック音)が混ざっていないか?→不要なノイズは予めカットしておく。
  • ボーカルや楽器の空間系エフェクトは「エフェクトなし」のドライ音源を用意する。→ミックス時にエフェクトがかかっているとやりづらい事があります。

また、エフェクトに関して、楽器やボーカルのキャラクター作りとしての大きな役割を担っている場合は、
エフェクトありの音源も同時に送って頂けると、楽曲の方向性の疎通に繋がります。

加えて、楽曲データの送付時に、楽曲の情報として

  • タイトル
  • テンポ(BPM)、テンポチェンジや変拍子に関して
  • 歌詞テキスト

これらも共有頂けると助かります。


2. 完成の希望イメージをできる限り正確に伝える

2回目以降の依頼なら全然ありなのですが、例えば初回の依頼で「いい感じにしてください!」だけですと、エンジニアは迷ってしまいます。

『いい感じ』の観点が人によって異なるからですね。

どのように仕上げるか、方向性を明確にするために、 参考曲 ラフミックス を用意すると方向性がわかりやすくなります。

言葉も大切ですが、音で提示して頂けると更に伝わりやすくなります。

また、ラフミックスとは、録音が完了した段階でざっくりと作品の方向性がわかるようにミックスを行った音源のことを言います。

例えば定位や音の質感など、本チャンのミックスでも同じにしたい場合は作成してご共有ください。

言葉でイメージをご共有いただく際も「ボーカルは目の前で歌っている印象で」「低音はタイトに」「広めのライブ感を出したい」など、
具体的にお伝え頂くと伝わります。

エンジニアは 依頼者のイメージを形にする役割 なので、方向性や完成形のイメージの擦り合わせはとても大切になります。

意思の疎通ができた時点で初めて、エンジニアの技術力が最大限に生かされます。

と、色々と書きましたが、あまりわからないので『おまかせで!』でも全然OKです。

その場合は一任したと解釈して、経験を生かし、私の感性で一番良いと思える形で仕上げさせて頂きます。


3. 納期と修正回数を確認する

依頼する前に、作品のリリースに合わせて「納期」と「修正回数」をしっかり確認しましょう。

オンラインミキシングの場合、クライアント立ち合いのミキシングと異なり、スタジオに集って一斉に確認、と言うスタイルではないため

修正回数を設けている場合が多いです。

  • 修正回数が無制限なのか、回数が決まっているのか(無料、有料も含め)
  • 無料修正回数を超えた時の追加修正の料金はいくらかかるのか
  • 納品まで何日程度かかるのか

これを把握しておくだけで、後のトラブルを大きく減らせます。

動画での配信を行う場合は動画制作者とのスケジューリングも同時に行う必要があります。


4. 料金の確認、相場や仕上がりの違いを知る

ミックス料金は幅が広く、1曲 数千円〜十万円以上までさまざまです。

ココナラやSNS等で活動されている方で、1曲数千円でミックスをやられている方もいるようですが、大切なことは

価格と質は比例する部分と、比例しない部分がある

ということです。

まず比例する部分に関して、先ほどミックスとは?の部分でも触れましたが、ミックスは音楽として仕上げる作業のことを言います。

その際に作品の完成に違いが生まれる要因として大きく以下の3つに分けられます

1、ミックスの工程

2、使用機材の質

3、エンジニア自身の経験、感性

経験豊富で良い機材を持っているエンジニアに依頼することで、良いバランス、良い音で仕上げてもらえる予想ができます。

またプロとして活動しているエンジニアは片手間のエンジニアに比べ、作品に費やす時間も多くなります。

時間をかける=いいミックスができる

という構図は、音楽という観点では全く成り立ちませんが、時間をかけないと疎かなミックスになる可能性は大いにあります。いわゆる手抜きですね。

ミックスを仕上げる工程に関してはエンジニアによって違いますが、最悪の場合、必要最低限の工程もわからずにミックスを行う事もできちゃいますので

現場経験を積んだプロに依頼することはメリットがあります。

次に比例しない部分ですが、感性の部分です。

感性は人それぞれ違うため、当たり前ですが、プロのエンジニアでも多種多様です。

その面で「高ければいい仕上がりになる」ではなく、自分のジャンルや目的に合ったエンジニアを選ぶことが大切です。



5. エンジニアの実績やサンプルを確認する

上記の流れで高ければいい仕上がりになるとは限らないので、エンジニアの過去実績やサンプル音源を確認しましょう。

  • 自分の音楽と相性が合うか(ジャンルの一致)
  • 実際に聴いて「好きだ」と思えるか(音質の一致)
  • 信頼して任せることができそうか(性格面)

技術はもちろんですが、「自分が好きな音」「自分が信頼できそうな人」に依頼することが大切です。


よくある失敗例

  • イメージと全然違う作品に仕上がった
  • エンジニアが『できない』の一点張りで修正に応じてくれなかった
  • 修正回数が多くなり追加料金が増えてトラブルになった
  • エンジニアと突然連絡が取れなくなった(SNSで多いと聞きます)

これらは依頼前にしっかり準備と確認をしておけば防げることですが、特に2つ目のできないの一点張りの話はよく聞きます。

私も先ほど、なんでもできるわけではない、と書きましたが、少なくとも物理的、技術的な面で無理なこと以外は、全てできることです。

エンジニアの私的感情が入った『できない』の話を聞く度に、

エンジニアの存在意義である『クライアントの音楽の質を高めて表現のサポートを行う』という部分を見失っているな、、、

と感じてしまいます。

あくまでもエンジニアは音楽の共同制作者であり、クライアントのイメージにできる限り近づけるのがエンジニアの仕事だと考えています。


プロに依頼するメリット

  • 完成度UP:SNSや配信で聴かれたときの印象が変わる
  • 相乗効果による期待:他の人がミックスを行うことで、自分ではできなかったアイデアが発見ができる
  • 時間の節約:自分で何時間も悩むより、プロに任せる方が早い
  • 長期的な価値:継続して同じエンジニアに依頼することで、自分の音楽の個性が育ち洗練される

音楽活動を継続して行う場合、プロに依頼することは大きな投資になります。


まとめ

初めてミックスを依頼するときは、以下の5つを確認しておきましょう。

  1. 録音データの準備をしっかりと、綿密に
  2. 完成の希望イメージを、できる限り正確に伝える
  3. 納期と修正回数を確認する
  4. 料金の確認、相場や仕上がりの違いを知る
  5. エンジニアの実績やサンプルを確認する

依頼前にこれを押さえておくだけで、安心してプロに任せられます。

あなたの音楽をより魅力的に仕上げるために、ぜひプロの力を活用してください。

また、実際に依頼したい方向け『ミックス依頼用、データ作成ガイド』もご用意していますので、ご一読ください。

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