ミックス依頼で思い通りにいかなかった経験はありませんか?
さて、エンジニアにミックス依頼をした際に
「思った仕上がりと違う…」
「なんか音が小さい気がする」
「修正が増えて気まずい」
「結局、別のエンジニアに頼み直した」
など、思い通りにいかなかった経験はありませんか?
せっかくの音楽制作ですから、お互いに気持ちよく、音を楽しみながら進められるのが理想です。
しかしながらこれらがうまくいかないと、結果としてわだかまりが生まれ、良い音楽も生まれにくくなってしまいます。
実は、これらの原因は依頼前の準備不足、コミュニケーション不足にあることが多いです。
今回の記事では
プロのエンジニア視点で「依頼前の準備やコミュニケーション、知っておくべきポイント」を書いていきます。
これらを実践することで、上記のような失敗を未然に防ぐことが可能です。
順を追ってみていきましょう。
① 参考音源のポイントを言語化
まず最初に、参考音源(リファレンス)送付時に伝えるべきことについて。
ミックス依頼の時に、参考音源がある場合は意思疎通のために送って頂きます。
ただ、それらを単に送っただけでは伝わりきらない場合がありますので、『参考のポイント』を明確にする必要があります。
楽曲に対する捉え方は人それぞれなので、プロのエンジニアと言えど、聞くべきポイントがズレていた場合
完成された音源は、意図していない音源となってしまいます。
具体的に出来る限り詳しく、どういった点の参考音源なのかを言語化することです。
❌「こんな感じで」
❌「お任せで」
このような伝え方だとズレが生じますので、
・ボーカルの距離感
・キックの太さ
・全体の明るさ
・広がり
のように、具体的に伝えます。
エンジニアとクライアントが同じ完成イメージを持つ事により、作品の方向性が定まり、修正回数は激減します。
② 整理されたオーディオファイル
依頼時に送るオーディオファイルについて見ていきたいと思います。
実は、このオーディオファイルの作成の仕方によって、エンジニアの作業時間、効率が大きく変わってきます。
そのため、クオリティに直結したり、場合によっては料金も変わってくる場合もあります。
以下、具体的なポイントを見ていきます。
1、オーディオファイルの名前は収録されている音の名前にする。
例えば
Vox_Main
Gt_Rhythm_L
Kick_In
のように分かりやすい名前にしておく事で、視覚的に捉えることができるため、作業効率が上がります。
「Audio_01」のような収録時のままだと、何の音か分からないので変更して送ります。
2、頭出し(頭合わせ)を正確に行う。
こちらは以前の記事でも触れていますが、エンジニアが同じDAWを使用している場合は必要ない場合もありますが、
違うDAWの場合、オーディオファイルを書き出して送る必要があります。
以前の記事はこちら→『ミックス依頼用、データ作成ガイド』頭合わせからラフミックスまで
頭出しを行っていない場合、正確な時間軸がわからない為、ミックスができないという状況になってしまいます。
そのため、送付ファイルの修正依頼を出したり、事前やり取りの回数も増えてしまうため、無駄な時間が増えてしまいます。
このやりとりを防ぐため、書き出したオーディオファイルを再度ご自身のDAWにインポートする事をお勧めしています。
この一手間の確認で、ミスをしていた場合は気づくことができますので、ぜひ送付前に今一度ご確認ください。
3、ファイル化する際に無音部分は極力減らす。
パラデータのファイル化を行う際ですが、曲の始まりと終わりの余白に関して、2、3秒もあれば充分です。
あまり多くの無音部分を作る必要はありません。
もちろん、曲の頭が欠けてしまっていたり、終わりのリリースが切れてしまっているのでは困りますが、
多すぎる無音部分はファイル容量の無駄となってしまいますので、結果、送付時のアップロード時間の無駄にもなってしまいます。
必要な部分だけを整理して送っていただくことで、よりスムーズなやり取りが可能になります。
4、サンプリングレート、ビットデプスを混同しない。
時々出くわす事例なのですが、
歌データは48kHz,24Bit
オケ関係は44.1kHz,24Bit
のように、1曲のデータの中でサンプリングレート、ビットデプス共に混在してしまっている状態でファイルを受け取ることがあります。
恐らく分業制での制作環境の違いで、各々が違うレートで書き出している状況だと察していますが、
制作前に、サンプリングレートとビットデプスのレートは決定して統一して下さい。
この2つのレートは音に直結する部分です。
これについては今度、別の記事で詳しく書いていきたいと思っていますが、混同していて良いことはありませんので、
制作前に必ず統一しておくことをおすすめします。
5、ミックスに使用しないテイクは送らない。
稀に、保険で!という感じで使わないテイクを送ってくる方がおられますが、これは混乱や迷いの元となるので送付しない方が無難です。
例えば、どちらのテイクが良いかをミックスして決めてもらいたい場合や、必要か不要かがミックスしてみないとわからない場合に関しては、是非ご相談ください。
クリエイティブなご相談はいつでもウェルカムです。
作品にとって最善となるよう尽力させて頂きます。
③ 「良いミックス=音圧」ではないという事
まず、そもそもミックスデータはマスタリング前となりますので、流通している音よりも小さい状態です。
ミックス後にマスタリングの作業を行い、最終的な音圧と質感を整えていきます。
※ミックスとマスタリングについてはこちらの記事も参照ください→「ミックスとマスタリングの違い|初心者向け制作工程と基本のポイント」
そのため、まずミックスとマスタリングを混同しないように注意が必要です。
そしてここからはミックスの判断基準となってきますが、
ミックス時に何よりも大切なのは、バランスを整える事です。
例えばバランスが悪いまま、次の作業となるマスタリングで音圧を上げると:
・ボーカルが潰れる
・低域が暴れる
・聴き疲れする
という弊害に悩まされてしまいます。
ミックス時に大事なのは:
✔ 楽曲の流れ
✔ 主役の明確化
✔ 奥行き
これらをしっかりと整えて、その後のマスタリングへとバトンを繋ぎます。
そしてマスタリングでの音圧を上げる作業は“結果”であって目的ではありません。
必要な音楽に対して、必要な音圧を与えるべきだと考えています。
④ 必ずしも、『価格=質』ではないという事
価格は重要な要素で、制作予算に合ったエンジニアに依頼する必要があります。
しかし、必ずしも価格と質は一致しない、という事を知っておくのも大切だと思っています。
多くの実績のあるエンジニアの単価が高いのは当たり前のことですが、高くても自分のジャンルと合っていないと狙い通りにならないことがあります。
エンジニアの実績を確認して、“自分のジャンルと合っているか”を確認することが最重要と言えます。
⑤ 修正は方向性確認のためにある
ミックス時の修正回数ですが、回数を定めているエンジニアも少なくありません。
私の方でも無料修正は3回までとしていますが、これは制作スケジュールとクオリティを保つための基準として設定しています。
本来の修正の目的は、ダメ出しではなく、方向性のすり合わせです。
回数が多くなってしまっても、作品が良い形で仕上がるのが最善の着地点なので、気まずく感じる必要はありません。
ただし、最初のイメージ共有が曖昧だと修正回数は増えやすくなります。
そのためにも、依頼前の準備が重要になります。
まとめ
ミックス依頼が初めての場合は、エンジニアとの意思疎通を図るため、しっかりとコミュニケーションをとっていく必要があります。
その後、回を重ねて行き、慣れてきたらお互いの好きなポイントが見えてきたり、クセや必殺技がわかってきます。
そうなってきたら欠かすことのできない共同制作者となり、1+1=2 では収まりきれず、1+1=♾️ となることも少なくありません。
もしこれからミックス依頼を検討している方は、
「うまく伝わるか不安」
「修正が増えたらどうしよう」
そんな気持ちもあるかもしれません。
私は、制作前のヒアリングを特に大切にしています。
今回の楽曲で一番伝えたいこと、コンセプトは何か
どんなアーティストを目指しているのか
どこで流通させる予定なのか
音に関する部分はもちろんのこと、アーティスト像やライブイメージまで共有しながら、方向性をすり合わせていく事もあります。
初めてのご依頼でも問題ありません。
まずはお気軽にご相談ください。
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現在の音源を拝聴させていただいた上で、最適な方向性をご提案いたします。
