うまくいかないミックス、先に進めないミックス
長いことミックスを生業としていると、ふと気づくことがあります。
『何故か今日はミックスが進まないな』
『前に進んでいるはずなのに、出来が悪い』
『ピンと来ないミックスだなぁ』
このように、うまくいかないミックスに直面することがあります。
今回は、その理由と、それでも前に進むための考え方について書いていきたいと思います。
ミックスがうまくいかない時のよくある原因
ミックスがうまくいかない時、あるいは前に進めない時には、決まって以下のような理由があります。
1. 楽曲とリファレンスが違いすぎる
・ジャンルが違う
・編成が違う
2. 録音状態が悪い
・SNが悪い
・歪んでいる
・音質が悪い
3. 制限がある(ステム、もしくは2Mixなど)
音量や音質の調整に制限があるため、通常は割り切って使用しますが、割り切れないほどバランスや音質が悪いケースもあります。
1のケースであれば、リファレンスとの相違をクライアントとの会話で埋めることが可能です。
リファレンスの意図を確認することで、おおよそ理解し改善できると思います。
しかし、2や3のような場合は、改善が困難なことも多いです。
それでもミックスは仕上げなければなりません。
ミックスがうまくいかない時の考え方
通常のミックスは、さまざまな問題やリスクをクリアできている状態から作業に入ります。
しかし2や3のような場合、ノイズが気になってしまったり、バランスや処理を変更したいという**「改善欲求」**が満たされません。
そのため、常に何かを気にしている状態でミックスを進めなければならず、集中力も散漫になります。
そのような状態では、良いミックスを作ることはできません。
自分が納得できていない状態では、クライアントに自信を持って聞いてもらうことすらできません。
だからこそ、考え方を改めて前に進みます。
それは、
「どこか良いポイントを見つけて、そこをできる限り生かす」
ということです。
強い1点を極限まで磨き上げる。
その際、俯瞰で聞いて気にならないような細かな部分であれば、多少犠牲にしても良いと考えています。
1点集中の作品にする。
そうすることで、制限のある中でも他の作品に負けない、強い作品が作れます。
そのためには、創意工夫するという姿勢が何より重要です。
改善できない部分への向き合い方
今回挙げた「ミックスが進まないポイント」はあくまで一例です。
肝心なのは、
「自分が気になっている部分を、この場で改善できるのかを判断する」
ということです。
もし改善できない場合には、気持ちの切り替えが必要になります。
そしてこれは、制作環境においても同じことが言えると思っています。
満たされていない環境の中で音楽制作をしている人もたくさんいます。
それでも良い音楽は生まれ、人の心を打ちます。
逆にそういった作品が、ある意味で尖っていて好きだったりする自分もいます。
制限や問題がある中でも、必ずどこかに光るポイントはあります。
それを見つけ、最大限に引き出すことが、ミキシングエンジニアの役割だと考えています。
客観的な視点から、強い1点を見つけ出せるかもしれません。
自分では気づかなかった魅力が、ミックスによって浮かび上がることもあります。
音質や機材に対するこだわりが強い私ではありますが、志は常にハングリーに保ち、ミックスに向き合っています。
まとめ
ミックスがうまくいかない時には、必ず何かしらの理由があります。
リファレンスとの違い
録音状態
作業の制限
これらが原因で改善できない場合は、発想を変えて強い1点を磨くという方法もあります。
制限のある中でも、作品の魅力を最大限引き出すことがミキシングエンジニアの役割だと考えています。
もしミックスがうまくいかない時は、今回の考え方を思い出してみてください。
